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美しい本棚と汚い本棚 [読書 Books]

確か筒井康隆の『大いなる助走』の冒頭のシークエンスで、「汚い本棚」という表現がでてくる。この表現は筒井康隆のオリジナルではなく、作品の中で、確か誰か別の文筆家の記述を引用していたはずだ。「汚い本棚」というのは、その人の本棚に並べられている本の背表紙を眺めても、いったいこの人はどういう趣味なのだろうか?とわからなくなるような、なんの関連性もなく、脈絡もない本が雑然と詰め込まれている本棚のことをさす。ならば当然、並べられた本を見れば、その人の趣味がわかるような本棚のことは「美しい本棚」と言えるだろう。

Stuart NG book でDave Stevensという『ロケッティア』の作者の蔵書の一部が販売されているコーナーがある。Dave Stevensの本棚は本当に美しい。僕が最初に買ったのはアールデコのデザイン画集だった。そして2冊目に買ったのはアメリア・エアハートの伝記。僕はDave Stevensが何者なのか、ということを本を購入してから知ったのだが、この人の蔵書が販売されている棚に、ほかにどのような作品があるかというと、ミッキー・コーエンの伝記、ポーの伝記、エルロイのLA作品、アールデコの美術書、SFのペーパーバック、といった感じ。まさに『ロケッティア』を生み出した作家の本棚といった感じだ。

さてそのDave Stevensの本棚に、僕は1冊だけ日本語の本を見つけた。もちろんDave Stevensは日本語は読めなかっただろう。その本は、なんの本かというと、宮崎駿の出世作である『ルパン三世 カリオストロの城』の何巻ものかのストーリーブックのうちの一冊だ。

なぜDave Stevensは宮崎駿が監督したこの『カリオストロの城』の本を所有していたのだろうか。これすらももちろんこの美しい本棚の中にあっては有機的に他の本と結びついていくのだ。宮崎駿の持っているアルベール・ロビタを憧憬するような趣味、カリオストロの城に登場するオートジャイロと“影”いったクラシカルな趣味、それはロケッティアを生み出したDave Stevensの趣味に近いものを感じずにはいられない。
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