So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン
読書 Books ブログトップ
前の20件 | -

『私のチャップリン』 [読書 Books]

日本に戻ってきて、つい最近、古書店のことについていろいろ書いていたものだから、自分にとって一番思い出深い、今はなき武田書房で買った本を棚から取り出した。そのうちの一冊が、淀川長治の『私のチャップリン』。この本が武田書房のどの棚にささっていたかも、今でも鮮明に覚えている。
IMG_4261.JPG
高校生の時に買ったのである。僕がチャップリンに熱中するのは中学1年生の時。当時、チャップリンの情報に飢えていた僕は、手あたり次第に、チャップリンの名前を見つけたら、新聞から切り抜き、書店で見つければそれを購入したりしたのだが、その後僕はロックに夢中になり、映画への関心が薄れてしまう。高校2年生ごろだろうか、今度はロックからクラシック音楽を聴くようになりだす。クラシックを聴きだすと、必然と、周辺の芸術作品も、文芸的なものへ興味を抱き、再びチャップリンのもとへと帰ってきたのである。

どのような経緯なのかというと、もっとわかりやすい事実を用い、説明すれば、武田書房で購入した他の書籍として、当時、入手したものに『ニジンスキーの手記』『その後のニジンスキー』がある。ニジンスキーはチャップリン自伝に登場する偉人として興味を持っていたのだ。高校2年生か3年生の頃、授業中に僕は、授業などを聞かずに、机の下に『ニジンスキーの手記』を広げ、本を読みふけった。

そのような時期にあらためて購入したのが淀川長治の『私のチャップリン』であったのだ。それは上述のニジンスキーに関しての書籍が存在した同じ棚から摘み取られたものであった。

名著である。もっとしっくりくる言葉で言い換えれば、非常に価値のある本である。これは淀川長治にしか書けない著作だ。まえがきを読むと、氏はこの小さな書籍に2年を費やしている、と書かれている。淀川氏がまえがきに書いているとおり、氏は通り一遍の伝記を記述したり、アカデミズムの匂いがするような論述を繰り広げることを避けた。それよりも、淀川氏しか知り得ない、チャップリンにまつわる記憶を紡ぎだすという選択をされたのである。実に素晴らしい判断。聡明な英断ではないか。いや、氏の言っていることはもっと複雑だ。2年を費やす理由も、分かってくる。

この書籍には、サーカスを撮影していた頃、チャップリンの撮影所に入り映画研究を行うことのできたという牛原虚彦氏との対談が収録されている。

“牛原 いちばん最初のほうにヴェニスの遊園地が出るでしょう。あのスリのくだりのところ。(中略)あのあたりを、私、勘定していて、ちょうど六週間かかった。
淀川 すごいねぇ。それは同じ子どもで。
(中略)
牛原 それが最初はヴェニスでやっていたんです。ヴェニスというのは、オ―ション・パークとサンタモニカのあいだにある遊園地なんです。
淀川 それは海岸ですか。
牛原 海岸です。”
(『私のチャップリン』淀川長治 PHP研究所 1977年 P204)


感銘を受ける。『サーカス』の撮影に立ち会うという事実だけでとてつもないことだが、牛原氏は、あの失われたヴェニスのアボット・キニーのピアに行っているのである。そして淀川氏の返答からわかることは、当然のことだが、氏は、ロサンゼルス近郊の土地勘があまりない。これらの事実に僕は感激するのである。

https://fuyublog.blog.so-net.ne.jp/2017-05-22-1

淀川長治氏の著述にはいくつか間違いがある。しかしそれが重要なのだ。例えば、P123。『サニーサイド』の天使たちとの舞踏の場面。

“ぱたんと地上にひっくりかえったところが西部のサボテンの上だったので、痛いッとそのサボテンを尻からむしりとるところで目がさめる。”
(『私のチャップリン』淀川長治 PHP研究所 1977年 P123)

淀川氏は、この場面を、チャップリン本人の前で実演してみせる。

“私がどんなに古くからチャップリン映画を見ているかを椅子からのり出して話したのであった。「サニー・サイド」のチャップリンダンス・シーンをすっかり記憶していた私は、チャップリンが最後にひっくりかえってサボテンのトゲに尻を刺されてそのサボテンを片手でもぎとるしぐさまでチャップリンにして見せた。”
(『私のチャップリン』淀川長治 PHP研究所 1977年 P28)

この記事にも書いた通り、この淀川さんの記憶は間違えているのだが、その間違えているという事実が記憶というフィルターを通した果てしない時間の流れを証明させ、僕は感激するのである。
https://fuyublog.blog.so-net.ne.jp/2017-06-05-1

この文章が書かれたのは1977年。『サニーサイド』は1919年の作品。日本公開もおそらくそのあたりだろう。淀川さんは、この初公開以降、この作品を見ていないはずだ。60年近くもの間、淀川さんは記憶の中にある『サニーサイド』を演じてみせる。

『私のチャップリン』にしっかり、そのあたりのことが書かれている。

“日本では大正九年四月八日「サンニーサイド」として封切られた。”
“ところがどういうわけかチャップリン自身が再公開を許した多くの作品の中に「サニー・サイド」だけがない。いまから何年前であっただろうかチャップリンの長女ジェラルディンが来日したとき、(中略)話のついでに『あんたはパパの(サニー・サイド)を見ましたか)』と聞いたところ意外にも見ていないと答えた。”
(『私のチャップリン』淀川長治 PHP研究所 1977年 P118~P119)


『私のチャップリン』をつまみ読みすると、氏がアメリカに2度ほど来ていることが分かる。1953年が二度目の訪米とのこと。その時に、チャップリンの秘書であった高野虎市氏と親睦を深めている。ロサンゼルスに来ているのだから、チャップリンの撮影所、もうその時にはチャップリンはアメリカにはいない。1952年10月に赤狩りの結果として、アメリカを後にしている。スタジオは売却され、スーパーマンの番組を手掛けるクリング・スタジオのものとなる。

一度目の訪米は、どうもその直前の1952年のようだ。ラ・ブレアのチャップリン・スタジオで、淀川さんは『ライムライト』を撮影しているチャップリンに会っている。すごい話だ。

たまに物事は不思議にも奇跡のような経緯を辿る。パン・パシフィック・オーディトリアムに不思議な経緯を見出さざるを得ないように、淀川長治氏がこの『私のチャップリン』をしたためた顛末にも奇跡がある。この書籍の出版h1977年9月なのだ。氏のあとがきは8月となっている。この書物はチャップリン存命中に書かれているのである。出版されてからわずか3か月後にチャップリンは他界する。淀川さんは、この小さな書籍を小さな放浪紳士に渡せたのだろうか?

さて僕は思いついて、この『私のチャップリン』をアメリカに持っていくことにした。上に3冊の写真があるが、それは日本で撮影し、『私のチャップリン』だけをアメリカに持ってきたのである。アメリカに戻って最初の週末に、僕は次のことをしたのだ。

IMG_4689.JPG
IMG_4692.JPG
IMG_4693.JPG
IMG_4690.JPG
IMG_4691.JPG

ラブレアにあるチャップリン・スタジオで、この小さな書籍と写真を撮ったのである。
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

Fred Hanna [読書 Books]

僕が海外旅行に行ったのは大学生の時に友人といったイギリス、アイルランド。それと社会人になってからいったドイツ。それだけ。後は数か国行けたとはいえ、仕事での話であって観光はしていない。

ドイツで古書店に入った記憶がないことが悔やまれるが、幸運にもダブリンで古書店に僕は行っている。トリニティ大学を観光した後、近くに古書店を見つけたのだ。僕はそこで記念にオスカー・ワイルドの全集を購入した。その古書店でもう1冊、ワイルドの伝記を購入しているが、後年置き場に困ることになり、確かブックオフに売ってしまった..。(そうだその伝記を僕は10年近く、3回ほどの引っ越し時も、かならず持ち運んだのに、現在の家で物があふれ、処分してしまった。)


https://www.irishtimes.com/news/legendary-bookseller-of-nassau-street-1.600935
nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

世界の素晴らしい古書店 The amazing used bookstore in the world [読書 Books]

キャラバン・ブックストアが閉店してしまったことを知り、僕はここに独断で世界にある素晴らしい古書店、そしてかつてあった素晴らしい古書店を記そうと思う。世界の国なんて、数か国しか行ったことのない僕が、世界にある古書店を知っているわけないのだが、独断でここに記すことになんの躊躇もない。

【現役】Open
1.The Last Bookstore: Los Angeles, CA, USA
2.往来座 Ohraiza:Tokyo, Japan
3.Sandpiper Books:Torrance, CA, USA
4.Larry Edmunds Bookshop: Hollywood, CA, USA
5.古賀書店 Koga Shoten : Tokyo, Japan
6.Argonaut Bookshop:San Francisco, CA, USA
7.Moe's Books : Barkley, CA, USA
8.東塔堂 Totodo : Tokyo, Japan
9.Flying Books : Tokyo, Japan

【閉店】Closed permanentaly
1.Acres of Books:Long Beach, CA, USA
2.武田書房:Yamato, Kanagawa, Japan
3.Caravan Bookstore:Los Angeles, CA, USA
4.Fred Hanna : Dublin, Ireland


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

The Shelvis (曽根賢Pissken) / 短編作品集 第1巻 [読書 Books]

数日前の記事で鬼子母神堂に行ったと書いたが(いや、この一文を書いている現在、タイトルにのみその語を含めたのみで、相変わらず書きっ放しのため、本文にまだ鬼子母神に行ったことは出てきていない)、なぜそこに行ったのかというと、サウンドトラックのLPが充実しているアーツCサウンドトラックに行きたかったのだ。しかし残念なことに、僕が行った時間ではお店は営業していなかった。

その帰りに鬼子母神に寄ったのである。その後、近くにある古書店「往来座」に寄った。以前、来た時は、ここで確か、『太陽がいっぱい』と『死刑台のメロディ』の文庫を買ったのだ(『太陽がいっぱい』の方は10年以上前に西葛西にあった、いまはもうない古本屋で目にして、買いそびれたことを後悔していたのだ)。
IMG_3123.JPG

その時も、実はこの自費出版のような作品を手にして、興味を持ったのである。それは原節子の写真をジャケットにした、EPのような姿をした作品であった。地元のアーティストのインディーズの作品であることは間違いなかった。今回も僕はそれを手にしたが、結局買うことをやめ家路についた。何も買わずに、初めての鬼子母神の散策を楽しみ帰ったのである。

さて家に帰り、やはり気になるこのThe Shelvisという作品がいったい何なのか気になり、ネットで調べたのだ。調べている段階で、僕はそれが本なのかレコードなのかよくわかっていない。そして様々なことを知るのである。

まずこの作品は、まぎれもない本である。EPの姿形をし、架空のロックバンドの体裁をとりながら、いってみれば、作家、デザイナー、編集、製作、スタッフ、という立場の人間がそれぞれ演者というイメージになり、一つのEPを作っているという世界観なのだ。
IMG_3118.JPG
IMG_3126.JPG
IMG_3127.JPG

中心となる曽根賢という人は、かつて存在した、バーストという雑誌の編集長であった。その後、編集、雑誌出版稼業はやめ、作家/詩人となったそうな。

これが曽根賢氏のブログ。どの文章も面白い。僕は人のブログを過去にまでさかのぼって読み漁ることはあまりしないが、この人のブログは、お気に入りにいれて、過去記事もよく読むようになった。

https://ameblo.jp/pissken420/

よく僕は、自分でも自分の過去のある些細な出来事、いま僕がそれを書かなければ、永遠にそのイメージはこの世に残らないということを、このブログに書くが、たまに「いったい何の価値があるのだろう」と思うのである。しかし曽根賢氏の文章を読み確信したが、価値のあるなしは文章によるのである。そのとおりだろう。歴史に残る一大事件を記述しても、その文章に魅力がなければ、それはゴミだ。しかしたとえガードレール上の錆の有様を文章にしたためても、文章に魅力があればそれは芸術にすら昇華する。

僕が日本文学を読むのは久しぶりだ。

曽根賢氏の作品は、氏がアングラ、サブカル系に関係のある人物という先入観から猟奇的な、暴力的な内容かと思いきや、非常に古典的な、今となっては古典的な、大正、昭和の文学作品の気品あふれる内容であった。原節子の写真がジャケットに選ばれているのだ。その気品にふさわしい内容であるに決まっているではないか。僕は自分の直観、センスにのみ従う、自分の食指の動作がいかに正しいのか、ということにますます自信を持った。

日本文学をあまり読んでこなかったが、曽根賢氏の作品が僕に思い起こさせた作品は、川端康成の『掌の小説』であったり、久しぶりにその名前を思い出したが、なぜか宮本輝の『幻の光』を思い出した。おそらく、ほのかなエロティシズムと、ところどころ挿入される鮮烈な生命感のイメージが、その2作を思い出させたのかもしれない。

いや「幻の光」よりも、映画の『まぼろし』こそが、思い出された作品だったのかもしれない。短編「八重桜」で描かれる鯉のイメージ。僕はそれに、フェリーニが使った打ち上げられた魚の死骸、『ヴェルクマイスター・ハーモニー』のクジラの死骸、等を思い出させるのだ。そして何よりも、シャーロット・ランプリングの『まぼろし』でところどころ挿入される、無数の蟻のイメージ、有機的な自然の分解活動を思い出させられたのだ。

巻頭の言葉で、曽根賢氏は次のように原節子のことを書いている。

“写真の彼女は、私のいちばん好きな「頑なな表情」をしている。”
“そして私にとって原節子とは、秘密を孕んだ頑なな女の「清潔な殺気」を体現した女優である”

原節子をシャーロット・ランプリングに置き換えても、この文章は成立しえないだろうか。

このような優れたPR動画も作られている。



この曽根賢氏のブログを読んでいたら、まず佐藤ブライアン勝彦という画家の名前を知る。そしてその人の作品を調べていたら、もうおそらく20年近くぶりにこのサイトを見たのではないだろうか。

https://www.monstera.jp/mania/

僕はこのサイトを知っている。このサイトは2000年からとなっているので、2002~2003年ぐらいにこのサイトを見たのだろう。当時すでにミッドセンチュリーのインテリアに夢中になっていたが、僕はこのサイトで言及されていた、いや今もその文章が残っているのかわからないが「イスもテーブルも、ラグもそろえたが、しかし何か足りない。そうだ観葉植物だ。」という言葉に非常に感銘を受けたのである。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

Caravan Bookstore [読書 Books]

先日、オメガマンのロケ地をたどる散歩をダウンタウンでおこなっていた時、コースの終盤がグランド・アヴェニューであり、そこで、いつも入りたかったのに常にオープンしていない古本屋が、なんの理由でか分からないが、普通にそのドアが開いていることに出っくわしたのである。

その古書店の名前はCaravan Bookstore。ロサンゼルスの古書店の中でも、例えばYelp!や、おそらくTrip Advisorなどでも評価も高く、だからこそ僕は行きたいと思い、何度もその店の前に足を運び、いつもClosedの札を下げた鍵のかけられたドアを前に落胆していたのである。

評判に違わず、そこは素晴らしい空間であった。これは記念に何か買わねばと思い、手にした古書を買ったのであるが、店主は、丁寧に、次のように包装してくれた。いまどき、こんな包装をしてくれる古書店があるだろうか。涙が出そうである。
IMG_7379.JPG
IMG_7378.JPG
この素晴らしい包装を前に、一つの困ったことが生じたのだが、それは本を一刻も早く読みたいといおう欲求と、この素晴らしい包装を壊したくない、という欲求が生み出す、非常にパラドキシカルなジレンマなのであった。

このままでは永遠に本を読むことができないという問題を回避するために、意を決してこの包装を解くことにした。
IMG_7381.JPG
僕はアラビアのロレンスに関する本を購入したのである。
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

『ニジンスキーの手記』『その後のニジンスキー』 [読書 Books]

高校生の頃に武田書房で購入した本。ニジンスキーの名前は『チャップリン自伝』で知った。もう一つ『チャップリン自伝』の他に『For Beginners Chaplin』という父に買ってもらった本があり、その本にもニジンスキーの記述があり、興味があったのだ。当時、“天才と狂気”というテーマに関心があり、ニジンスキーは強い興味の対象だったのだ。なぜか僕の中で、前述の2冊の本から、チャップリンと関連する著名人の中で、記憶に残っている名前は、シンクレアとニジンスキーなのだ。シンクレアは、アプトン・シンクレアなのかシンクレア・ルイスなのか定かではない。

高校生の頃、授業中に授業など聞かずに常に小説を読んでいた。得てしてそれは、赤川次郎やその他の推理小説であることが多かったのだが、高校3年生の頃より、自分の芸術への興味はより高次のものへとなっていった。なんとなく推察するに、その転機はやはり『チャップリン自伝』を手に入れたことから始まっているのではないか。そして受験という現実から僕は逃避し、芸術の世界へと逃げていったのだろう。そうして僕の社会との関わりは希薄になっていくのであったが、引き換えに僕が得たものはその後の人生を豊かにする豊饒な芸術の世界だったのである。

高校3年生の頃、授業を聞かずに、机の下に隠しながら読んでいた本が、赤川次郎から『ニジンスキーの手記』に変わったのだ。その行為はまぎれもなく現実からの逃避であったのだが、赤川次郎を読んでいたら、逃避であることを認めざるを得ないのにたいし、『ニジンスキーの手記』ならば、当時の僕にはそれが逃避ではない、という言い訳ができたのである。

実際そうだ。当時の僕の言い訳は、受験生たちが、「モーツァルト」「古典主義」という用語をマシーンのように覚えていくのに対し、モーツァルトの作品を実際に鑑賞することに、なんの引け目があるのか?というものだった。

今にして認めるが、その言説はただの言い訳である。自分の人生を否定することはできないが、自分もマシーンのように受験勉強をするべきだった。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

Grapefruit [読書 Books]

先日、サージェント・ペパーズのアニバーサリー盤を聴きながら、ふと車の中で「そもそもイマジンのアイデアはオノ・ヨーコだったのでは?」と思ったのだった。

大宮にあったジョン・レノン・ミュージアムが好きだったということは、何回か書いたが、僕が最初に行ったときのテーマ(常設に対する特別展のような)がオノ・ヨーコだったのだ。そこで僕はオノ・ヨーコのインストラクション・アートというものに非常に感銘を受けた。やはり一番記憶に残ったのが「この本を読み終わったら、この本を燃やしなさい」というフレーズだった。

その頃より、オノ・ヨーコとは、世間一般の認識であるジョン・レノンの妻という肩書ではなく、彼女自身が素晴らしい芸術家であるのだ、という認識を僕は持ったのであった。

そして4月に日本に戻った時、草間彌生の展示会に行き、そのすばらしさに圧倒されながらも、僕は今現在、自分が置かれている境遇とも相俟って、一番記憶に残っているのは草間彌生が着物姿でニューヨーク(だと思うが)を闊歩する映像であった。僕はその映像から、エミール・フォン・ザウアーからダメ出し受け、1925年に自害した久野久の姿を見る思いだった。

草間彌生の作品から、実は僕が思いを馳せたのは、久野久の他に、オノ・ヨーコだったのだ。ああ、そうだもしかしたら、あのオノ・ヨーコのインストラクション・アートの作品が書籍として発売されてるのではないか?調べたら、簡単に入手できることが分かった。日本語に翻訳されたものもある。

IMG_4480.JPG

僕は間違いなく、この『グレープフルーツ』を購入したのは、『サージェント・ペパーズ』のアニバーサリー盤を購入してからだ。そして僕が、このアニバーサリー盤の中から、いったい何を一番気に入ったのかと言えば、それはストロベリー・フィールズのテイク7なのである。製作途中のもの。永遠に突き進む、創造のベクトル。オノ・ヨーコの『グレープフルーツ』にも同じく僕はその創造のベクトルが息吹いていることを感じるのである。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

美しい本棚と汚い本棚 [読書 Books]

確か筒井康隆の『大いなる助走』の冒頭のシークエンスで、「汚い本棚」という表現がでてくる。この表現は筒井康隆のオリジナルではなく、作品の中で、確か誰か別の文筆家の記述を引用していたはずだ。「汚い本棚」というのは、その人の本棚に並べられている本の背表紙を眺めても、いったいこの人はどういう趣味なのだろうか?とわからなくなるような、なんの関連性もなく、脈絡もない本が雑然と詰め込まれている本棚のことをさす。ならば当然、並べられた本を見れば、その人の趣味がわかるような本棚のことは「美しい本棚」と言えるだろう。

Stuart NG book でDave Stevensという『ロケッティア』の作者の蔵書の一部が販売されているコーナーがある。Dave Stevensの本棚は本当に美しい。僕が最初に買ったのはアールデコのデザイン画集だった。そして2冊目に買ったのはアメリア・エアハートの伝記。僕はDave Stevensが何者なのか、ということを本を購入してから知ったのだが、この人の蔵書が販売されている棚に、ほかにどのような作品があるかというと、ミッキー・コーエンの伝記、ポーの伝記、エルロイのLA作品、アールデコの美術書、SFのペーパーバック、といった感じ。まさに『ロケッティア』を生み出した作家の本棚といった感じだ。

さてそのDave Stevensの本棚に、僕は1冊だけ日本語の本を見つけた。もちろんDave Stevensは日本語は読めなかっただろう。その本は、なんの本かというと、宮崎駿の出世作である『ルパン三世 カリオストロの城』の何巻ものかのストーリーブックのうちの一冊だ。

なぜDave Stevensは宮崎駿が監督したこの『カリオストロの城』の本を所有していたのだろうか。これすらももちろんこの美しい本棚の中にあっては有機的に他の本と結びついていくのだ。宮崎駿の持っているアルベール・ロビタを憧憬するような趣味、カリオストロの城に登場するオートジャイロと“影”いったクラシカルな趣味、それはロケッティアを生み出したDave Stevensの趣味に近いものを感じずにはいられない。
nice!(8)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

三島由紀夫全集 [読書 Books]

学生の頃、どれだけ三島由紀夫全集に憧れただろうか、もともとの全集は確か赤色の装丁で、字も旧仮名使い、圧倒的な格式を感じさせるものであった。その後、三島由紀夫全集が全面改訂され、発売開始されたことも知っていたが、その時にはすでに僕は三島由紀夫にそれほど第一義的な興味、関心を示さなくなっていた。このたび日本に帰った時、全集のうち、憂国という、書籍の全集としては極めて異例なDVDと、金閣寺の2冊を購入した。感無量である。僕がもう一つ憧れてやまないのはトーマス・マン全集である。僕が大学生の頃、トーマス・マンの全集は高嶺の花だった。そもそもその現物を手にすることもなかなかなかったが、今ではアマゾンや、オークションなどで、手に入れようと思えば、簡単に購入できる。つくづくすごい時代になったものだと思う。
IMG_9189.JPG
nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

バベルの図書館 [読書 Books]

久しぶりにボルヘスの『伝奇集』を手に取り、「バベルの図書館」の冒頭を読んだのだが、はたしてバベルの図書館はいったいどんな姿をしているのだろうか、と何度も描写を読んでみたが、なんとなくはわかるにしてもはっきりとイメージできない。うまく分かればレゴでも作れるかな、と思って、ネットで調べると、You Tubeでもいくつか出てきました。

確かにこんな感じだ。


これはボルヘスの作品にみられる数学的側面に注目した講演。確かに僕もバベルの図書館はハチの巣かと思ったのだ。


すごい時代ですね。気の向くままに、検索すればボルヘスの講義を聞くことができる。これは岩波文庫でも出ている『七つの夜』の第六夜、カバラです。スペイン語なので太刀打ちできないかと思いきや、自動翻訳ができる。すごい時代だ。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

FIND MOMO [読書 Books]

この本は2015年の10月に買ったものですが、久しぶりに見たら面白かったので紹介します。最初、風景の写真集を買おうと思って、よくこの本の意味合いも考えずに手頃な値段のこの本を買ったのですが、ぱらぱらとみていたら、この本、写真集でありながら、遊びの本でもあって、行ってみればウォーリーを探せと同じ本。どこの写真にもどこかにMomoという名の犬が隠れており、それを探すという楽しみ方ができる本です。
IMG_9212.JPG
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

マルセル・プルーストの映像 [読書 Books]

ヤフーのニュース記事を見ていたら、驚くべきニュースが書かれていました。生きたプルーストを収めたフィルムが発見されたとのこと。記事ではロベール・ド・モンテスキューの大姪の結婚式に参列したときのものとのこと。記事で読んでいる限り、確証はまだ得られていないようにも読めます。You Tubeで同じ動画をみつけました。35秒あたりで、足早に降りてくる男性ですね。確かにプルーストの面影があります。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

Tippi [読書 Books]

50%オフだったので買ってきました。装丁がいいですね。ティッピ・ヘドレンの自伝です。この前は鳥のブルーレイも買ったし、サンフランシスコに行く準備が整ってきました。ティッピ・ヘドレンはサインをするとき、いつも鳥を書くのでしょうか?素晴らしいですね。チャイニーズ・シアターにも残して欲しい。
IMG_7352.JPG

<2017年6月25日>
引っ越しの準備で、本などを箱にしまっているのだが、英語のトレーニングのために1~2冊英語の本を残しておいた。それがこのティッピ・ヘドレンの自伝。僕はこの自伝に、例えば素晴らしいヒッチコックへの賛辞、思い出等を期待して買ったのだが、しばらくして、ティッピ・ヘドレンによるヒッチコックへの糾弾。当時彼女が受けたセクシャル・ハラスメントの数々を告発する本であることを知って驚いた。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

LIFE in Hollywood [読書 Books]

せっかくの休みなのですが、ちょっと気分も良くなく、遠出はせず家にほとんどいたりして過ごしています。もともとこんな予定ではなかったのですが、まあ良いです。僕は1日、家にいても充実できるタイプの人間なので。そうは言っても、出かける用事もあったので、夕方、近所の古本屋さんに行って本を探しました。本当はヒルトンの失われた週末の原書があれば、と思ったのですが、うまく見つけられず、代わりにLIFE in Hollywoodという本を買いました。貴重な写真がたくさん出てきて楽しいです。オードリー・ヘップバーンとグレース・ケリーが、アカデミー賞の授賞式で控えで待っているツーショットなど信じられない写真が載っている。チャップリンの有名な素顔で、ステッキとハットを持ち、背後に大きく影が映った写真もLife誌のものだったんですね。下で調べたアルフレッド・アイゼンシュタットもLife誌の著名な写真家だったので、いくつかその写真が載っています。
IMG_7305.JPG
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

Polanski [読書 Books]

ハリウッド/ヴァインから、建物を写真に撮りながら、またラリー・エドモンズの本屋さんに行きました。お店の前に、ティッピ・ヘドレンの最近出た伝記のポスター、しかもサイン入りがありました。前にラリー・エドモンズのホームページで知ったのですが、11月にサンタモニカのエアロ・シアターでティッピ・ヘドレンの講演みたいなのがあったらしいです。今度、そういうのにも参加してみたいです。

今回買ったのは、まずポランスキーの伝記。はっきり言って表紙買い。あとレジ前にあったハリウッドの写真を買いました。$6以上した?
image.jpeg
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

Footsteps in the Fog [読書 Books]

Helms Bakery Districts のショッピングモールで、本屋さんがあることに気づき行ってみたら、これが想像以上に趣味の良い本屋でした。ARCANAという本屋さんで、芸術系の書籍を取り扱っています。これは何かを買わなければ、と思い、選んだのは、結局映画ロケ地の本で、ヒッチコックの本。ヒッチコックのロケ地巡りで『白い恐怖』のロケ地の詳細がわからなかったので、買ったのですが、よく見たら、サンフランシスコのロケ地限定でした。というよりこの本の表紙のデザイン、ヒッチコックの色合いが気にいったのが一番の理由です。このARCANAという本屋さんはまた近いうちに行きたいと思います。
image.jpeg
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

Thomas Mann Doctor Fautus [読書 Books]

Today, at lunch time break, I went to my favorite used book store. At first, I intended to buy some book about Los Angels ― Indeed, I found the very impressed book about Wilshire Boulevard at this same shop few months ago ―, even though, there were some interesting books about Los Angels architectures or history, but these didn't have decisive facts. Instead of that, I found very old book at vintage book corner. That was my favorite book. Thomas Mann's "Doctor Faustus". It is so very old, and its cover is damaged. According to the data, this book is fifth edition, printed in 1963. First publish was in 1947. It was the period while the author still alive.
image.jpeg

Byond the High Himalayas [読書 Books]

This is the most interesting book I got recently. Title is "Beyond the High Himalayas". I got the first published one. This book published in 1952. Author's name is William O Douglas. I don't have a knowledge about him. Probably, he is an adventurer or journalist. According to the foreword in this book, this book is about the adventure to the central Asia, and describe the situation of central Asia at that era. For example, communism, or other political matter.

Probably, unfortunately, I think I must not read this book.

ビジネス書 [読書 Books]

実家に帰ったら、父が仕事に対するアドバイスとして「世の中にあるビジネス関連の書籍も馬鹿にせずによんでみなさい」と言っていた。父に言われなくても、そうしようかな、と本当に思っていたのだ。会議にでてもあまり発言もできないから、発言力を高めるような、とか、そんなビジネス書を読んでみようと。

聞けば父も、若い頃、そんなビジネス書などくだらない、と言って読まなかったそうだ。(その割には書棚にいろいろあった気がするが)僕はそれに輪をかけてビジネス書など馬鹿にして読んでこなかった。僕が自分の書棚に並べる本は、優れた文学作品や、芸術関係、哲学、歴史等であって、そんなところにビジネス書など並べたくないのだ。実際、ビジネス書など、内容のないテレビにでてくるような安っぽい似非学者が金儲けのためにくりかえしくりかえし同じ事を書いただけのものだと思っている。

さて、そんな僕でも、歳を取り、そんなこと言わずに、他人の意見にもちゃんと謙虚に耳を傾けようと思うようになる。父のアドバイスもタイミングよく同じであったため、僕は本屋で平積みになっていたビジネス書を一冊ためしに購入してみた。

結果は....

ゴミだった・・・・。1400円も払って、本当にこんなものを本として売り出せるのかというひどさだ。文章はひどい、内容はない、著者の教養の低さが全体からにじみ出るような本だ。決して若輩者が書いたものでもなく、肩書きもごたいそうなものだ。内容は断言するがゴミだ。ただそれでも200ページの本の中で、1行だけ、ためになったかな、と思える部分があった。ビジネス書なんてこんなもののような気がするな。100冊読んで、1冊良書にめぐりあえたら、ラッキーぐらいの分野なんだと思う。

これ本屋でよく調べもせずに買ったから失敗だったのだろうか。それではアマゾンでチェックしてみようか。

ああっ。ちゃんとチェックすればよかった。。。評価18件しかなく、星1つが5個もあるよ。。。。チェックをせずに買った僕も馬鹿だったな。ビジネス書の購入は今後注意していけば、いい本にあたるんだろうな。。。

こんな本、平積みにしないでよ、本屋さん。出版社にお願いされるんだろうけど、そこは書店のプライドでもって客に勧めたい本を平積みしてよね。

ワンピース 79巻 One piece Volume.79 [読書 Books]

アメリカで買うと$6とかしてしまうので、日本に帰ったときに買いました。本当に面白かった。最近のワンピースは、ちょうど魚人島ぐらいから、おもしろくなくなって、パンクハザードもドレスローザもなんだかちゃんと読んでいなかったのですが、ドレスローザでドフラミンゴと本格的に闘いだしてから俄然面白くなり、今回の巻で感動はクライマックスでした。サボも出てきたこともあって、頂上戦争を髣髴させる面白さでした。帰りの飛行機の中で読んでたのですが、もう離陸前に泣きそうでした。最近のワンピースには尾田栄一郎に対する批判が随分ありますが、尾田栄一郎はそんな批判通じないほど、はるかに力がありますね。ワンピース完結までまだまだがんばってください。作画力、物語力、演出力、すべてピカイチだと思います。

The price of Japanese comics are exceed $6, so I bought "One Piece" latest volume while I was visiting in Japan. It is very excited story. Recently, since the episode of Gyojin-to, it became to be little bit bored for me, and then the next episodes -- Punk Hazard, Dressrosa-- I didn't read eagerly. But the story of Dressrosa gradually turned to very exciting story, and finally, at this volume the story reached to the climax. Due to the appearance of Sabo, this volume reminds me of the story of the war on the summit. I read this comic in my returning flight. I could have wept, before the plane's take off. In these days, many readers have a negative opinion about Oda Eiichiro, but I believe he has still tremendous ability repel all of objections. I wish his writing will continue to the end. He is the best on the point of drawings, story telling, and direction.
前の20件 | - 読書 Books ブログトップ